肝臓ヒト化マウスの歴史 ~ 今後の予定 ~
「肝臓ヒト化マウスの歴史」コラムへようこそ。
この連載では、肝臓ヒト化マウスの開発から、その応用に至るまでの重要な研究の旅路を紹介します。偶然から始まった発見、異種間移植の成功、さらには幹細胞技術の活用まで、各段階での重要な進展を掘り下げていきます。
この連載を通じて、肝臓ヒト化マウスが医学研究にどのような革新をもたらしているのか、その深い理解を共に追求してまいりましょう。
今後の予定
0.第1話:はじめに
1.肝臓ヒト化マウスの開発の出発点は偶然の所産:
(1)第2話:Tg(Alb-Plau)の報告:生後4日目までに腸管等の出血で死亡
・Heckel et al. Cell 62:447-456, 1990
(2)第3話:Tg(Alb-Plau)の中で、生き残る系統の発見と樹立:岡垣
Alb-Plau 遺伝子を欠損した肝細胞で再生
・Sandgren et al. Cell 66:245-256, 1991
(3)第4話:マウス肝細胞の移植(同種移植)に成功:春名
Tg(MT-nLacZ)マウス成体肝細胞をTg(Alb-Plau)に移植成功
・Rhim et al. Science 263:1149-1152, 1994
(4)第5話:ラット肝細胞のTg(Alb-Plau):nu/nuへの移植(異種移植)に成功:山村
・Rhim et al. PNAS 92:4942-4946, 1995
2.肝臓ヒト化マウスの作製に発展
(1)第6話:ヒト肝細胞のTg(Alb-Plau;Rag2-/-)への移植に成功
異種移植のため免疫不全マウスRag2-/-の使用とHBV感染
・Dandri et al. Hepatology 33:981-988, 2001
(2)第7話:ヒト肝細胞のTg(Alb-Plau;SCID)への移植に成功
異種移植のため別の免疫不全マウスSCIDの使用とHCV感染
・Mercer et al. Nature Med. 7:927-933, 2001
(3)第8話:ヒト肝細胞のTg(Alb-Plau;SCID)への移植法の改良
高キメラほど死亡率が高い⇒ヒト肝細胞からの補体の影響⇒Futhan処理
・Tateno et al. Amer. J. Pathol 165:901-912, 2004
(4)第9話:新たなレシピエントマウスの開発:Fah -/-:Rag2-/-:Il2rg-/- (FRG) モデル
NTBC(2-(2-nitro-4-trifluoromethylbenzoyl)-1,3-cyclohexanedione)投与により生存可
・Azuma et al. Nature Biotech 25:903-910, 2007
(5)第10話:新たなレシピエントマウスの開発:NOGモデル
免疫不全程度が激しいNOG (NOD;SCID; IL2rg-/-)モデル
Commercially available cryopreserved hepatocytes (Lonza Walkersville Inc., MD, USA)
・Suemizu et al. BBRC 377:248-252, 2008
(6)第11話:mAlb-HSVtk; NOG (NOD;SCID; IL2rg-/-)
新たなマウス肝細胞の死滅方法と免疫不全マウスの利用
・Hasegawa et al. BBRC 405:405-410, 2011
(7)第12話:ヒト成長ホルモンの効果
ヒトリコンビナント成長ホルモン投与による置換効率の上昇
・Masumoto et al. J. Endocrinol. 194: 529-537, 200
(8)第13話:Retrorsineによる移植効率の大幅改善
・Michailidis et al. Proc Natl Acad Sci USA. 117:1678-1688, 2020
3.幹細胞および肝前駆細胞の活用
(1)第14話:ヒトES細胞およびiPS細胞由来の肝細胞の利用
ヒト多能性幹細胞をin vitroで培養し分化誘導した肝細胞を移植に用いる
・Si-Tayeb et al. Hepatology 51:297-305, 2010
(2)第15話:ヒトiPS細胞由来の肝細胞の利用
・Chen et al. Hepatology 55:1193-1203, 2012
(3)第16話:ヒトES細胞細胞由来の肝細胞の利用
・Woo et al. Gastroenterology. 142:602-11, 2012
(4)第17話:ヒトiPS細胞由来の肝細胞の利用
・Nagamoto et al. Cell Transplant. 24:1127-38, 2015.
(5)第18話:体細胞からのリプログラミングにより誘導した肝細胞を利用
線維芽細胞から誘導した肝細胞の利用
・Du et al. Cell Stem Cell 14: 394-403, 2014.
(6)第19話:ヒト成熟肝細胞を培養して誘導したヒト肝前駆細胞を利用
・Zhang et al. Cell Stem Cell23:806-819, 2018
(7)第20話:ヒト成熟肝細胞を培養して誘導したヒト肝前駆細胞を利用
・Katsuda et al. Elife 8:e47313, 2019